【読んだ】なぜ、あなたの仕事は終わらないのか
年始にこの本を読んだ。
なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である
- 作者: 中島聡
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2016/06/08
- メディア: Kindle版
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有名な本なので知ってる人や読んだことある人も多いかもしれない。
帯にも書いてあるとおり、元マイクロソフトのプログラマーである中島聡氏の時間管理術という触れ込みである。著者の中島聡氏はwindows95の開発者の一人で、今でこそ当たり前となっているがマウス操作における"右クリック"の概念を作った人だ。
この本を手にとったのは、自分の仕事が遅いと日頃から感じていて、実際これまでもプロジェクトをリスケさせた経験があんまりいい記憶になっていないためである。プロジェクトの振り返りをしても遅延の原因はケースバイケースだったり、行き着く先は単純に集中力がない・技術が足りないとかにもなったりして、なんとも漠然としてしまい、なんとかしたい気持ちが強かった。そこで、そもそも時間の使い方で改善できることが多々あるのではないかと思い、読んでみることにした。
というわけで、いくつかポイントを要約してポストしてみる。
なぜ仕事が終わらないのか
本書では、仕事が終わらない人間の特徴を以下のように列挙している。
- 安請け合いしてしまう
- ギリギリまでやらない
- 計画の見積もりをしない
そして、当てはまる人は大抵ラストスパートで徹夜などをしたりする。
ラストスパート指向
ラストスパート指向はこんな感じで仕事を進める傾向を示す。
- プログラムを書くこと自体に問題はなく、ある程度優秀
- どんな仕事でも引き受けてくれる( = 見積もりが甘い)
- 最初は他の仕事を進めていて、納期ギリギリで着手するので時間が足りなくなる
- 納期2日前などから徹夜で作業するが、取り繕うような修正をするので完成度も低く、いい成果に繋がらない
数学のテスト
ラストスパート指向については、数学のテストを例に挙げていて、これがわかりやすかった。
- 一般的に数学のテストは、前半に単純な計算問題があり、後半に難易度の高い文章問題が配置されている
- 基本問題はいわゆるサービス問題で、授業を聞いて解き方を知っていれば地道にやるだけで確実に解ける
- 応用問題は、解き方を知っているだけでは解けないことが多い。テクニックや論理性が問われるため、どのくらい時間がかかるかが予測しづらい
- ラストスパート指向は、愚直に前半の基本問題から解いていき、最後に応用問題に直面したところで「これは終わりそうにない……」と気づく人
徹夜の影響
一晩徹夜すると職務遂行能力は『学習障害がある場合と同程度まで低下する』 –2015.9.23 米CNN
ちなみに徹夜をすると上に挙げたように、翌日の生産性が著しく下がる。誰でも経験したことはあると思われるが、筆が乗っている状態のときに少し睡眠時間を削るのはありだけれど、基本徹夜は避けよう。
仕事を終わらせる
ではどうやって仕事を終わらせるようにするか。
これも本書から抜粋したけれど、とてもよい言葉だ。拙い戦法でも素早く進軍したほうが戦いに勝つという意味であり、仕事は最初のうちに全力で終わらせたほうがいいというように捉えられる。
最初から100点を目指さない
で、これをどう実践するかなのだけれど、まず仕事の期待値を調整したほうがよい。
- 作ったときに100点だと思っても後から粗が見えてきてどうせ80~70点になる
- ソフトウェアの観点で見ると、大規模なプロジェクトの場合、ある臨界点に達するともうそれ以上バグは減らない。あるバグを直すとその副作用でほかのところでバグが発生する可能性があり、完全に0にするのがとても難しい。
- 100点じゃなくてもいいので90点や80点のプログラムを必ず納期に提出する
こんな感じになる。windows95 もリリースした当初は3500個のバグが残されていたそうだ。しかし操作や品質を担保できるUXが提供できると判断し得るクオリティまでを最速で仕上げることでリリースに至ったという話もあった。
すべての仕事は、必ずやり直しになる。 このくらいの気持ちで臨んだほうがいいのかもしれない。
プロトタイプを最速で作る
最初から100点を目指さないようにするには具体的にどうするのか。それはとにかく最速でプロトタイプを作ることだと述べられていた。
- すべての仕事は必ずやり直しになる。最初の狙いどおりに進むほうがまれで、スマホのアプリも明日のプレゼン資料も、どうせやり直しになると思うことにする
- 細かいことはおいておき、まず全体像を描く。石膏像を彫るとき、「眉毛」から始める人はいない
- クオリティが低くて怒られることよりも、締め切りを守れずに「時間を守れない人だ」という評価をされることを恐れる
自分にも思い当たるところがあってこのあたりはとても賛同できる。他の職能に対する合意形成なども、プロトタイプで動くものがあったほうが絶対にいい。100の会議より1のプロトタイプというのは本当にいいえて妙だと思う。
ロケットスタート時間術
プロトタイプを最速で作る方法こそが、本書の最大の触れ込みである時間管理術のコアである。 ポイントになるのは以下の4つ。
- 仕事を10前後の納期に切る。スケジュールの割り出しに2日程度時間をもらい調査期間とする
- その2日で7~8割まで完成させる
- 2日でほぼ完成まで持っていけない場合、スケジュールの見直しを交渉する
- 時間に余裕があるときにこそ全力疾走で仕事し、締め切りが近づいたら流す
図にすると以下のようになる。
とにかく最初の段階で8割を完了させないといけないので、4時~22時まで仮眠をとりながら没頭する。終わらないなら期限の延長を申告する。
さすがに会議をすべて無視したりするのも中々難しいこともあるし、4時に起きて仕事をするのも抵抗があると思う。なのでこれを完全に真似るより、少しだけ、例えば朝6時に起きて7時から仕事をはじめるとか、小さくスタートするのがよさそうだ。
ロケットスタート時間術のまとめ
こうしてみるとロケットスタート時間術は以下のようにまとめられる。
- 仕事をスタートダッシュでこなして、絶対に終えられる納期を導き出す
- 最初の2割の期間を「見積もり期間」としてもらい、実際には、仕事量の8割を終える
- 最初の2割で8割の仕事ができなかったらスケジュールを調整する
- 「仮眠」と「マルチタスクの撤廃」で効率を上げる
おわりに
すべて実践することは中々難しいのは前提だと思う。この本を読んで自分は、才能がある人間に太刀打ちするには効率を上げるしかないと考えるようになった。
つまりは時間の使い方を工夫することで、埋まらない差を埋めることは可能である。 少なくとも期日前に徹夜してボロボロになりながら仕事をするのはよろしくない。もし同じ境遇の人がいたら手にとってはどうか。(200Pくらいで読みやすいし)