Yamamoto Zatsu

やまもとの雑記

【読んだ】コーチングのプロが教える「ほめる」技術

読んだ。

抜粋

アクノレッジメントは秘めたる欲求ではありません。一年に一度か二度口にすれば恩の字といった高級フランス料理ではありません。毎日口にする必要がある、米であり、タンパク質であり、水です。行動を起こしてそれを継続するために不可欠なエネルギーなのです。

半年に一回の面談などでは当然何も得られない。毎日の振る舞いこそが人と人の間にある何かを構築することがわかる。

任せるというのは、箸の上げ下げまで指示するのではなく、相手の裁量で進められる部分をきちんと与えて仕事を振ることです。そして最終的な責任はこちら側が取るというスタンスでいって、初めて任せるという行為が発生します。任されると、ものすごく自分の存在が際立ちます。この集団の中で必要とされていると感じられるし、協力の輪の中に確かに組み入れられているんだなと思います。だから多少忙しくなったとしても、内側のざわつき、つまり一人になってしまったらどうしようという不安は減るわけです

業務をアサインするということはまさにこの通り。ただ丸投げはNGで、"協力の輪の中"、つまり心理的安全性が保証された状態を維持できることが大切になる。

コーチングの哲学を表現するフレーズの一つに「答えは相手の中にある」というのがあります。

一方的なアドバイスにはアクノレッジメントがありません。相手のことを考えているとか、相手を心底大事にしているというよりは、教えたい、自分にはそれだけの知識があることを誇示したいという、アドバイスする側のニーズを満たしているにすぎないことが多いのです

面倒見がよいだけでマネージャーに適しているかを判断するのは辞めたほうがいい。おせっかいを焼くのではなく相手の成長を誰よりも考えた行動を心がけたい。

コーチングでは思考のパターンと外界との関わり方にもとづいて、人のタイプを大きく四つに分けています。人や物事を支配していくコントローラー・タイプ、人や物事を促進していくプロモーター・タイプ、全体を支持していくサポーター・タイプ、分析や戦略を立てていくアナライザー・タイプの四つです

これが自分はとても指針になった。相手のタイプによってアクノレッジメントは変わる。これを前提にしていないと全員に対して博打のようなマネージメントをすることになる。

これは若い先生に多いようですが、生徒を理解しようとカウンセラー的なスタンスに立ち、とにかく傾聴に努めるのです。しかし生徒はたがが外れたかのように自由にふるまい、先生のいうことを聞きません。先生はどうしたら良いのかわからずに途方に暮れてしまいます

ただ傾聴をするだけだと、いつまでたっても問題は解決しない。それどころか相手は調子に乗って悪化することさえある。権力を駆使してやれ!というのではなく、コンテキストをできるだけ詳細に伝えてあげることも必要になる。"なぜそれをするのか" はみんな知りたいわけだ。

まとめ

終身雇用の前提が崩れ去った昨今において、組織におけるコミュニケーションは必然的にアクノレッジメントが重要になる。 しかしアクノレッジメントとはなんだろう? 承認? 褒める? 褒める、と言われても具体的にどうしたらいいんだろう。ほめようと思って実行してもうまく刺さらなかった経験もあるのではないか。 目標を設定したけれど、モチベーションを高く維持できない経験は、社会人経験が浅くとも身に覚えがある可能性は高い。 ではどうしたらよいか。

そんな課題をこの本では実例に基づいてうまく咀嚼できるようにしている。

少なくともアクノレッジメントには、仕組みや制度よりも本人の振る舞いが大切なことが分かる。そして、コーチングは実践し結果を出すのが難しい。しかしこの書籍によって少なくとも方針を見出すことはできた。方針が分かれば内省が可能となり、あとは場数を踏むだけだ。 もし組織内でコミュニケーションに悩んでいるのなら読んでみて損はない。